【求人情報】オッコトヌシ様の目 未経験者歓迎!自然が多くていい職場です!お小遣い稼ぎに是非! 2012年11月17日 妄想 トラックバック:1コメント:0

「ほら田村!今だ、じっくりコトコト煮込むんだ!」

社内に激しい叱咤の声が響き渡る。

「無理ですよ部長、自分、やっぱりじっくりコトコト煮込めません!才能がないんすよ自分には!」
「馬鹿野郎!!」

(バキッ)

「まったくてめえは、じっとりメソメソと腐った野郎だぜ!もうお前に言うことはない!」

そう言い放つと部長は足早に部屋から出て行ってしまった。

「部長はいいよな、じっくりコトコト煮込む才能があって。社内でも1、2を争うじっくりコトコト煮込んだ実績もあるし」

「ちょっと田村君、午後から付いて来て欲しい場所があるんだけどいいかしら」
「あ、経理の里中さん、はい、是非ご一緒させていただきます」

そういうとなぜか里中さんは、この寒いのにわざわざ僕を連れて外出し、車で見慣れない神社の近くへと連れて行った。
里中さんは途中一度も口を開かなかった、冷やかな横顔だけが、秋の穏やかな日差しで妙に映えて見えた。

「田村君、さっき、自分にはじっくりコトコト煮込む才能がないって言っていたわよね。見てご覧なさいあれを!」
「……………!!」

そこにあったのは、いくつものじっくりコトコト煮込みかけては無残に失敗したスープたちの残骸であった。
周りに散らばる恐ろしい程の器具もまた、その特訓が行われていた時の凄まじい状況を言い表していた。
しかし一番彼の心をざっくりゴトゴト動かしたのは、見ているだけで息が詰まりそうなほど厳しい鍛錬を行う部長の姿であった。

「ぶ、部長、あんなに重い鉄下駄を履きながら神社の階段をうさぎ跳びで登りつつ、じっくりコトコト煮込んでいるだなんて…」

「そうよ田村君、実はね、部長こそが、最もじっくりコトコト煮込む才能がない人だったのよ」
「そんな、まさか…」
「でも彼は入社以来ああやって来る日も来る日も、ずっと血の滲むようなじっくりコトコト煮込む練習を続けてきたの、そして彼は今のあの実力と実績を手に入れたわ。これでもあなたは自分の才能を理由にじっくりコトコト煮込むことから逃げようと思う?」

「いいえ…思いません。もう二度と、僕はもう二度とじっくりコトコト煮込むことに背を向けはしません」

そう言うと田村は新しい志と共に会社への帰路に着いた。

いつも見慣れているはずの空の青さは、心なしか、さっぱりハレバレ澄み渡っているかのように見えた。

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まとめ【【求人情報】オッコト】

「ほら田村!今だ、じっくりコトコト煮込むんだ!」社内に激しい叱咤の声が響き渡る。「無理ですよ部長、
  1. 2012/11/20(火) 09:00:21 |
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