絶対に泣いてはいけない私のお墓の前24時 2011年06月04日 妄想 トラックバック:0コメント:0

はっきり言うと、僕には覆面調査員の才能があると思う。覆面調査員とは、登録した会社から派遣され、調査対象のお店に実際に行ってサービスを受け、仔細に評価をするというお仕事。もちろん覆面調査員に必要とされる能力とは幾つかある。隅々までサービスや商品を吟味し、正しく評価する眼などである。しかし、それらの中でも最も必要とされるのは、当然のことながら「相手に覆面調査員だとバレない」能力であることは言うまでもない。そりゃそうだ、相手にこちらが覆面調査員であることがバレれば普段のその店の真の姿、仕事ぶりは見えなくなってしまう。
この点において、僕は他の多くの人々を圧倒する「バレない能力」を発揮できる。そしてそのバレない能力を根底から支えるのが、僕の生まれ持っての類稀なる「完全な真顔」である。僕はそもそも一般人が決して手に入れることの出来ないような完璧な真顔の才能を持っていたが、才能を持っていただけでなく、僕のこの今までの平凡かつ虚無的な人生という環境が、ますます僕の真顔を磨き上げ、完璧へと押し上げたのだ。
こうして得た唯一無二かつ絶対無敵の真顔を持つ僕ならば、万が一にも店員側に僕が覆面調査員だとバレるわけがない。そのような確率などまさに天文学的数字であろう。
一人で来てカウンター席に静かに座り、無心の極みとしか思えない完全なる真顔で寿司をもぐもぐと食べる男を見て、誰がそれを覆面調査員だと疑うであろうか。曇り一つない遠い眼で、セルフサービスの緑茶をすする男性の背中を、覆面調査員のそれだと考えられるであろうか。否である。
この真顔を引っ提げて覆面調査員の世界にデビューすれば、僕は前代未聞のスピードで覆面調査界のトップへと駆け登り、やがては覆面調査界を引っ張る業界リーダーとなる。雑誌やテレビを初めとした各種マスメディアは我先にと僕を取材し、報道する。さらにはそれに合わせて覆面調査についての自分の熱い思いや考察をしたためた本を年に十数冊執筆し、時代の寵児となって、僕のことを知らない者はいないほどの有名人となる。
そしてそのために覆面調査員をクビになる。

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