絶対に笑ってはいけない祝日24時 2011年01月18日 純ネタ トラックバック:0コメント:0

20××年、日本政府から異例の法律が施行された。

ますます増加する少子高齢化・離婚率による独身者の増加、さらにそれに加えて、かつてより存在した、「クリスマスは本来の意味を誤った捉われ方をしているし、バレンタインは、本場欧米の祝い方と日本で違うのはおかしいのではないのか?そもそも日本は非キリスト教国であるのにクリスマスやバレンタインを祝う必要があるのか?」との声をそれまでより一層多く聞くようになり、それを背景としてこの新法案が可決されたのだ。

そう、その新法律とは、

「クリスマス及びバレンタインの廃止」並びに、「その三日間を『絶対に笑ってはいけない祝日24時』と称して、新たな日本国の祝日と定める」とする法律であった。


政府からの詳細内容の説明は以下のようなものであった。

1.12月24日、12月25日、2月14日の三日間、一般国民は決して笑ってはならないとする

2.もしも笑ってしまった場合は、政府直属の「おしおき隊」が適度な堅さの棒で対象市民の尻を殴打する

3.「おしおき隊」を構成するのは全ての国家・地方公務員及び非常勤公務員である

4.該当日は上記の公務員に特別手当が出され、それは日本政府の特別会計から捻出される


もちろん最初は誰も信じようとはしなかった。
特に若者たちはこの法律を守ることなど全く考えていなかった。

しかしある日の悲劇を発端として、否が応にも信じざるを得なくなった。
それは法律が施行されてから初めてのバレンタインであった。

男女共学高校の教室の隅で、半ば隠れるかのように、男女が小声で何かやり取りをしている。

内藤「高橋君…あの、その、こ、これ。今日バレンタインだからあげるね」

そう言うと可愛らしい女の子は、少し派手で綺麗な包みに包装された小さな何かを男子に手渡した。

高橋「な、内藤さん!あ、ありがとう。も、もしかしてその…このチョコって本命だったりして?」

内藤「う、うん…。恥ずかしいけど、そうなんだ、良かったら食べて、今度返事を聴かせて欲しいな…」

高橋「な、内藤さん…!」

クラス一の美少女、内藤さんから本命のチョコレートをもらった高橋。
その天にも舞い上がるほどの嬉しさで、思わず満面の笑みを浮かべた。

…その時であった。



テテ?ン! 高橋! アウト!!

どこからともなくそのような大音量の音声が流れてきた。
すると突然黒服に身を包んだ公務員たちが素早く姿を現し、高橋を教室の隅へと連れて行く。

高橋「な、なんだお前たちは!…ま、まさか、あのテレビでやってた新法律の!?」

黒服公務員たちは答えることなく、黙って高橋を机に伏せるように抑え込むと、黒く大きな棒を取り出した。

内藤「きゃあああ?!た、高橋君!!」

高橋「み、見るな!内藤さん、見ないでくれぇ!!公務員たちに尻を叩かれるこんな俺を見ないでくれぇ!!」

すぱあああんっ!!

渇いた、しかし強烈な破裂音のような音が、辺り一面に鳴り響いた。
悲痛な叫びも空しく、内藤の見ている前で、高橋は尻を思いっきり叩かれた。

放心状態の高橋と内藤。
静まりかえる教室。

他の生徒たちもみなさっきまでの表情とは打って変わって怯えた目で互いを見合う。

そう、法律は確かに施行されているのだ。
どれだけ多くの人々がこの一日で尻を叩かれたことであろうか。

誰も国家権力に抗うことも出来ずに、無残にも尻をフルスイングされていった。
お年寄りも、幼い子供も、か弱き女子も、分け隔てなく全員が全力で尻を殴打されたのだ。

そして時は流れて10か月と数日。
とうとうかつて「クリスマス」と呼ばれていた日がやって来た。

気づいている人も多いのではないだろうか?
そう、このクリスマスはイヴの24日と25日の二日間ぶっ通しで行われるのだ。
つまり、バレンタインの時とは違い、実質48時間笑うことを許されず、ひたすら耐えなければならない。

あまりに過酷なこの二日間に怯えながらも、旧クリスマスである「絶対に笑ってはいけない24時」はまたしても一般市民の生活を脅かしに、冬の寒さと共に舞い降りた。


前回のバレンタインで新法律の効力を知り、痛い目をみた国民は今回ばかりは笑わないように注意していた。
しかし注意していたとはいうものの、日本には数千万を超える人が住む。
ふとした瞬間や、笑ってはいけないという雰囲気の下で逆に笑ってしまうという人が驚くほど多くいた。

いつもの癖でテレビでお笑い番組のDVDを再生して観てしまい、家族揃って尻を殴打された家庭。
患者の重病を悟られないように、あえて患者とその家族に笑顔で対応した医者も、白衣の上から尻を殴られる。
日本から離れてアメリカなら大丈夫だろうとカリフォルニア州でパーティーを開いた数百人規模の日本人の団体客たちも、アメリカへ出張中の、日本大使館などに勤める国際公務員の集団に尻を殴打された。

とある場所では…

山本清美「ふふっ…あっ、や、やばい、笑っちゃった…」(ガクガク)

テテーン! 山本! アウト!

山本清美「くっ…!仕方がないわ、ここは黙ってお尻を叩かれるしか…あ、あなたは!!?」

黒服公務員「!!?き、清美か!?」

なんと残酷な運命であろうか。
その時清美のお仕置きを担当したのは、普段国家公務員として都政に携わっている清美の父、山本三郎であった。

山本清美「お、お父さん!!」

山本三郎「そ、そんな!まさかよりにもよって、娘のお仕置きを担当することになるだなんて…」

黒服公務員「どうした山本、まさか出来ないなんて言わないよな?国家反逆罪だぞ?」

山本三郎「くっ!許せ清美!これもお前たちを養うためでもあるんだ!!」

すぱあああんっ!!

普段は笑顔と笑い声で溢れるその家庭にも、今日だけは渇いたお仕置きの音が木霊した。


こうして市民たちは20XX年以降、旧クリスマスと旧バレンタインが来る度に身を震わせて、みな真顔の表情を浮かべる努力を強いられるようになり、この日の街からは自然と笑顔と笑い声が消えた。

この20XX年とは果たしていつなのだろうか?
2020年?2050年?それとも2090年辺りで私たちとは直接関係がない?


いやもしかしたら…
その20XX年とは、もうすでに始まっているのかもしれません…

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