今まで15人の女性と付き合ってきましたが全員ヤクルトレディースでした 2009年11月15日 妄想 トラックバック:0コメント:0

13日の金曜日だったものですからお家にジェイソンさんがやって来たわけです。
毎回毎回お風呂に入っている時に来るので正直こっちも「あ、来るな」とか思っちゃうわけです。
ぶっちゃけ階段を上がって来る足音とか余裕で聞こえてきてしまう。僕の部屋はアパートの5階なのでジェイソンさんの荒い息使いとかも聞こえてくるのです。

しかもあのマスクに申し訳なさげに付いてる数個の穴だけでは当然息苦しいことこの上ないようでありまして、「シュゴー、シュゴー、シュグ、ホゴオッ!」とか時々むせるわけです、心配になります。ちなみにジェイソンさん、13日の金曜日以外はあのマスクの小さい穴を利用してペヤングを作る時に湯切りとして使ってらしゃると言います。



しかし彼の唯一の趣味13日の金曜日活動を台無しにするわけにはまいりません。
ここは来ると分かっていても、例えあの人を騙すことになろうと、僕らはびっくりしてやらねばならないのです。
46歳無職生活保護受給者の彼が唯一楽しみにしているこの活動を僕らは奪ってしまってはいけないのです。

やがてジェイソンさんは僕の家の合鍵を使って(事前に渡してあります)僕の家に上がり込みます、ちゃんと靴を脱ぐどころか脱いだ後の靴をしっかりと揃えて並べ、僕の靴さえも散らかっていたら直してくれる几帳面さを垣間見せます。

ジェイソンさんはフゴフゴ言いながら僕の家の浴室の扉に手をかけます。
僕の方はといえばもうすでに○倉さんのヅラぐらい彼の存在に気づいているのですが、先にも述べたようにここはいかに自然にかつドラマティカルに驚くかに集中しています。

ジェイソン「フゴオオオ?!!」

僕「ひいいやあ?!ちょっとちょっと?!怖い怖い!もう何してはるんすかジェイソンさんもう?!びっくりしますわほんまにもう?!あっ、そういえば今日13日の金曜日ですわ?忘れてましたわうっかり?!」

見てくださいジェイソンさんの嬉しそうなどや顔。これぞ切ない大成功ですよ。
もちろん僕は年の始めにカレンダーを購入するとすぐにその年の13日の金曜日に赤いペンで丸印を付けてチェックし事前に備えるのですがこんなことジェイソンさんには絶対に言えない。あんなきれいな目をした46歳には決して言えない。

すると今回も一仕事終えた(つもりになっている)ジェイソンさんはその溢れんばかりの充実感と共に僕に語りかけます。

ジェイソン「いや?どう?びっくりしたでしょ?ww」

僕「いや?ほんと死ぬほどびっくりしました。ジェイソンさんの驚かしのセンスには毎回脱帽です。」

ジェイソンさんは照れ臭そうに頬をかく。
仮面を付けていることも忘れて。

ジェイソン「気づいた?」

僕「え、何がっすか?」

ジェイソン「あ?やっぱ素人はすぐには気付かないか。斧新しくしたんだよね。」

僕「あ、ほんとだ、ちょっと持つとこ長くなってるじゃないですか。」

ジェイソン「いいでしょこれ、近くのホームセンターで5万ぐらいで売ってたんだよね。」

その5万円も国民の血税から支払われていると思うと少しジェイソンさんを張り倒したくなったがやはり彼のキラキラしたビー玉のような目を見ているとそれを言うことはできない。

ジェイソンさんも10年ほど前まではバリバリの現役で13日の金曜日に人々を驚かせていたようだ。
今では体力の限界でほとんど行わなくなったが一時は山小屋とか別荘ではしゃぐカップルをよく狙っていたそうだ。ちなみに一番のお気に入り襲撃ポイントはアメリカのシカゴらしい。

その時のことがまだ忘れられないのであろうか。ジェイソンさんはよく自慢げにこの時の話を僕にする。

ジェイソン「カップルの仲は切り裂けるわおっぱいは見れるわもう最高!なんてたって洋モノでっせ!」

正直早く帰って欲しかったがジェイソンさんの嬉しそうな目を見ているとさすがに言えない。
ジェイソンさんはいつまで過去の甘美な思い出に浸り続けるつもりなのだろうか。今年で46なのに。
そんな僕の気も知らずにジェイソンさんのマシンガントークはその勢いを増してゆく。

ジェイソン「今のホラー界では窓を勢いよく割ってリビングから攻める派が大多数だけどあれはダメだね。ガラスの破壊音に安易に頼りすぎなんだよね。やっぱお風呂から攻めるのが常識だよ。といってもあれだよ、別におっぱい見たいからとかそんなんじゃないからね、ほらお風呂って一番リラックスする時でしょ?そのリラックスしきったところにバーンと入って行くのが一番相手としては怖いわけよ。そこんところ最近の若い奴らは分かってないんだよね。ほら今バイオハザードとかのゾンビもの流行ってるでしょ?あんなのもっての外だよね、だってもう見かけだけじゃんあんなの。何だよTウィルスって、そんなのあるわけないよ。」

僕の愛想笑いもついに尽きようとしていた時、僕はジェイソンさんに言わなくてはならないことを口にせねばならなくなった。

僕「ジェイソンさん。いつまでこんなこと続けるつもりなんですか。僕今日こそ言わなければいけないことがあります。実は毎13日の金曜日、ジェイソンさんが来るの…」

ジェイソン「分かってた……んだろ?」

場の雰囲気がみるみる変わっていった。
ジェイソンさんは少し黙った後おもむろに話し出した。

ジェイソン「そんなこと俺だって分かってた。っていうか合鍵預かってる時点で来ること前提だもんな。はは。」

僕「ジェイソンさん…。」

ジェイソン「何してるんだろうね俺。もう13日の金曜日=ジェイソンってネタバレしまくって皆びっくりしなくなってからどれぐらいの時間が流れたのやら。おかげで今や俺が斧を持って侵入するのを承知で皆固いカボチャとか日曜大工用の木材を用意して笑顔で待ってるのさ。何だよ俺は、いつから各家庭を固いもの切って回るボランティアになったんだよ。」

そう言いながらジェイソンさんは悲しそうな瞳で横に置いた斧を見ていた。
その切れ味鋭い立派な斧で未だ切れないものがあるとすれば、それはジェイソンさんと13日の金曜日との縁であろう。

またしばらくしてジェイソンさんは言った。

ジェイソン「このままだらだらこんなことやってても仕方ないし。ちょっとしばらく考えてみるわ。この活動も、惰性でやってたとこあるしな。」

僕「ジェイソンさん…。」

ジェイソンさんはしばらく黙ると斧を持って出て行った。
とても広いはずの背中がすごく小さく寂しそうに見えた。

それから次の13日の金曜日、ジェイソンさんは来なかった。
どこかで新しい生活を見つけて13日の金曜日とは縁のない暮らしをしているのだろうかと思いを馳せていた。

時はさらに流れてまた13日の金曜日がやってきた。
僕は風呂に入っていた。もう足音は気にしていなかった。

すると聞き覚えのある荒い息使いと鈍い足音が聞こえてきた。
まさかと思いハッとして玄関の方へと気をやる。

(ガラガラッ!!)

ジェイソン「見て見て!斧やめて機関銃にしてみたんだ!やっぱり今時斧とか何か違うなと思ってたんだよね!だって斧とか銃社会アメリカじゃ返り討ちに会っちゃうしね!盲点盲点たははっ!ww」


僕はその次の13日の金曜日を待たずして引っ越した。

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