そしてリストカッティング 2009年08月31日 ネタ雑談 トラックバック:0コメント:12

↑野です。

何を隠そう僕はもうかれこれ3年以上もの間美容院はおろか床屋さんにさえ行ってないのです。
いや、行ってたまるかクソが。
ここまで来たら僕の中では美容院に行く=敗北であり過去の自分に対する裏切りとも言えるのです。


と言うのにもちゃんとワケがあります。

僕は幼少の頃より床屋さんに親に連れられて行ってました。
今は小学生の子供もアホみたいに高っい金出して誰も得しないというのにオシャレに必死で月1で美容院に通ってるらしいです。

昭和生まれの僕には信じられないことです。
小学生の頃の僕はセンター分けに憧れるスポーツ刈り頭の少年でした。
当然髪を切りに行く先は美容院などという西洋かぶれの自意識過剰かぶれのモテようと必死な男女の巣窟などではなくガチガチの床屋さんでした。
下手したら扉開けた瞬間「らっしゃい!!」って言われるくらいのとこです。

そういった今のクソガキどもとは違う環境で育った僕は美容院を親の仇を見るような目で睨めつけながら床屋派として生きていくことを胸に抱いて生きてきました。

そもそも僕がそこまで美容院を嫌うのにはワケがあります。
一言で言えば「オシャレに自信が無いから」です。

美容院と言えばオシャレの世界、こんな「とっての取れるティファールのとってを取った後」みたいな顔をした僕が美容院などに行こうものならまずは失笑の洗礼ですよ。
「お、お客さ、ふぐうっ!ww 失礼しました、ティファ、お客さまこちらのお席どうぞww」
と来るんでしょうね、そして奴らは僕には全く分らないような専門用語で僕を攻め立てるに違いないのです。
「シャギー」とか「アンシンメトリー」とか「ツーブロック」とか「毛先遊ばせます?」とかそんなことを言って僕をワキ汗と背汗でびっしょりにさせようとしてるんです。兄ちゃんウチもうビチョビチョや。
そして僕の担当をまだ慣れてない研修生的な子にわざとさせて僕が残念ボーイで文句を言えないのを良い事に僕を実験台にして奴らは奥の小粋なスタッフルームで香りの良い紅茶を嗜むのさ。女子スタッフとイチャイチャしながらねっ!遊んでるのは毛先じゃなくてお前らや。

そしてオシャレの分からない僕に変なシャンプーや整髪料を無理やり買わせて2、3万ぐらい詐欺るんです。
その夜僕はお風呂の中で無理やり買わされたシャンプーで髪を洗いながら一人泣くのです。
果たしてその涙はシャンプーが目に滲みたからなんでしょうか。

そのような偏見を美容院に持っている僕は美容院などには決して近寄らないのです。
行くとしたら床屋さんだけです。

そんな僕も大学に入学してしばらくし、やっと生活も落ち着き、髪が伸びてきたので慣れない街で床屋さんを探し髪を切ってもらうことにしました。3年以上前のことです。
するとけっこうあるものですね。
あちらこちらにポツポツと店が構えてあり、この街だけでも6軒程はすぐに見つかりました。
しかし、残念なことにその内の半分以上は昔ながらの硬派な床屋ではなく、明らかに美容院を意識した、もしくは美容院的な店構えを混ぜて美容院と床屋の間を取ったようなものであり、僕のような美容院嫌いな人間をターゲットにしているのがバレバレでした。

「自分に自信が無くって美容院には入りたくないな?。あっ!でもこの床屋さん、床屋なのになんだかカジュアルでポップでシャレオツでアゲアゲでエクスタシーでダンシングインザミッドゥナイトだぜ!これなら恥ずかしい思いをせずにかつオシャレな髪型にできるぜヒイイイヤッフウウウ?!」と若者を誘い込む魔の城です。
僕は認めません。あんなものは床屋ではない。床屋はあんな切り終わった後に毛先遊ばせない。
床屋は『カット』なんて言わない。角刈りとかちゃんと髪型を商品にしてるんや。
やめろ!髪型ファッション雑誌を店員に見せるな!そのイケメンと同じ髪型にしても空しいだけやぞ!

思春期のモテたい盛りの男子の心をもてあそぶハイエナどもだいあんなもの。
俺は、俺だけでも生き残ってみせる…

そうしてしばらくさ迷った僕の目に一軒の硬派な床屋が見えました。
喜び勇んで入店します。

「っしゃあーっせええー!!」

これですよ皆さん。
これが床屋ですよ。

あんな尖った靴履いてちょっと殴ったらすぐ骨折れそうなほど華奢で「こんにちはー」とか言うカリスマ気取りの兄ちゃんとは違うんです。
ナイス昭和。

席について髪を切ってもらっている間に比較的若めのおじさんは僕に語りかけてきます。

店員「お兄さんあそこの大学の人?」
僕「そうなんです。つい1ヶ月前ぐらいに越してきたばっかなんです」
店員「あー、だから訛ってるんだね」
僕「えっ、訛ってますか?ww」
店員「関西の人?」
僕「そうなんですよ」

このような愛すべき人情溢れる会話が続いていくのです。
耳元でシャキシャキいうハサミの音がくすぐったくも心地よい。

店員「ゲームセンターとか行かないの?」
僕「いやいや!ゲーセンとか行かないっすよ、あんなん高校生までのもんじゃないんすかー?」

その場の空気がおそらく変わっていた。
僕は気づかなかった。

店員「え?そ、そうかな?ゲーセンとか大学生とかもよく行ってるよ?」
僕「いやいやいや?!ゲーセンはちょっと僕はないっすねえ?!それやったら勉強するなり本読むなりしますよ!っていうかあんなん楽しいんすか?ぬいぐるみ取るのうまい人とかよく自慢してますけど、考えたらあれ取るためにどれだけの時間と金無駄にしてるんすか!ぬいぐるみの原価考えたら悲惨ですよ!しかも大学生が暇つぶしにぐらいならまだ可愛いもんですけど社会人がゲーセンとかちょっとどうかと思いますねww!」

店員「…………そうですか」


店員の口数が途端に減った。
極端に減った。
表情は曇っていた。
ウサギのような目で鏡に映る僕を見ていた。

この時僕は悟った。
(ああ…この人この年でゲーセン行ってはるわ…完全にやっちゃった…)

途端に減る二人の会話。
恐ろしいことに45分ぐらいの散髪時間でこれが起こったのは開始わずか5分ぐらいであった。
残り40分間気まずいどころじゃなかった、空間がねじれ曲がっていた。

顔そりの時に店員が顔そり用の刃をゆっくりと持って来た時は、頑張って受験勉強したのに入学1ヶ月で早くも殺されると思った。

そうは言っても結局何もなく、無事に散髪は終わったのだけれども僕の心はズタボロだった。
帰る時、僕の背中に「またどうぞー」の声は無かった。
この街に来て1ヶ月、早くも会いたくない人ができてしまった。

それがトラウマになり、床屋さんさえも恐くなってしまった。
失言をして世間から酷評を受ける政治家の気持ちがその時だけは分った気がした。

それ以来髪を切りに行けず、だからと言って髪を何年間も伸ばし放題に伸ばし、ムックやモリゾーの後輩になるのも御免だった僕の目に100円ショップにて神器が目に入った。

セルフカッターである。

自分で簡単に髪を切れる道具でしかも前述のようになんとわずか100円で手に入る。
救われたような気がした。

あの時の喜びは今でも忘れない。
鼻息を荒くした僕はそれを買うと喜び勇んで自宅へと帰りお風呂場で初めてのセルフカッティングした。
美容院と同じレベルとまでは無理かもしれないがこのカッターでシャギー(髪をすくこと)まで出来るのである。
大学で「セルフカッティング同好会」なるサークルを立ち上げて自ら代表になり、可愛い女子部員のセルフカッティングを近くでアドバイスしながら大学4年間青春の髪を落とすビジョンが目に見えた。

(※セルフカッティング同好会 条項)

1:他部員のカッティングを絶対に手伝ってはならない(途端にセルフでなくなる)

2:飲み会では無理な飲みはしない(アルコール依存症では手先が震えてしまい、カッティング活動に支障をきたす)

3:セルフカッティングに失敗して見るも無残な髪型になってしまい家から出たくない部員が出た時は部員一同が協力してその部員の授業のノートや出席を肩代わりし、髪が伸びて元に戻るまでの間単位をできる範囲で守ってやる(髪は切るが友情の芽は伸ばす)

4:週に2回放課後みんなで表参道へ行き、美容院に石を投げつける(Amebaスタジオ前に集合)

5:部内恋愛禁止(二人の仲もカットしてやる)


ここまで考えたほどです。

それからというもの僕は春夏秋冬いつの時も切りたい時に自分で髪を切ってきた。
通ってるジムの人に言ったら「全然分らない!普通に美容院行って切ってると思ってた」と言われてなんだか報われた気がした。
本名を「セルフカッティング↑野」に改名しようかと悩んだ時もあった。

気づけば僕のセルフカッティングの腕もめきめきと上達し、本当に資本金はセルフカッター代100円で店が出せるのではないかと思える程の腕になっていた。

そんな僕はつい先日、
家で久しぶりに一人酒をしていた。
別に何か嫌なことがあったわけじゃない、男には酔いたい夜があるのさ。

慣れない梅酒をロックでちびちびと3時間ぐらいかけて映画を見ながら飲み干した。
ベロンベロンに酔いながらも風呂に入ってる時に何故か急にセルフカッティングをし始めた。
風呂の鏡に映った自分の顔を見てヘラヘラ笑いながらもなんだか楽しくなり順調に切っていた。

次の日の朝、目を覚まして歯を磨きに洗面所へ行った。




頭がメスゴリラみたいになってた。

テーマ:大学生日記 - ジャンル:日記

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